WordPressのセキュリティ対策に関して、基本から運用のポイントまでのまとめ

WordPressは、世界中で多くのWebサイトに利用される人気のコンテンツ管理システム(CMS)ですが、その普及の高さゆえに攻撃の対象になりやすい側面もあります。
WordPressのセキュリティ対策について、基本から具体的な運用のポイントまでを自分なりにまとめてみました。


目次

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ログインアタックへの対策

ログインアタックは、WordPressのWebサイトに対する最も一般的な攻撃方法の一つです。悪意ある攻撃者がIDやパスワードを総当たりで試みる「ブルートフォース攻撃」を行い、不正ログインを目指します。この対策として、以下の点に留意してください。

  1. 強力なパスワードの設定
    パスワードは推測されにくいものを使用します。8文字以上で、大文字・小文字・数字・記号を含む組み合わせがおすすめです。
    WordPressが発行するパスワードをそのまま利用するのをおすすめします。覚えようとはせず、パスワードマネージャーで管理できるようにしましょう。
  2. 多要素認証(MFA)の導入
    ログイン時にパスワードに加えて、ワンタイムパスコードなどを求めることで、セキュリティが大幅に向上します。
  3. ログイン試行回数の制限
    プラグイン(例:Limit Login Attempts)を使用して、一定回数の失敗後にIPをブロックする仕組みを導入すると、より安心できます。

アップデートの重要性

WordPress本体、テーマ、プラグインの定期的なアップデートは、セキュリティ対策の基本中の基本です。アップデートには機能改善だけでなく、既知の脆弱性に対するセキュリティパッチも含まれています。

  • ゼロデイ攻撃のリスク軽減
    脆弱性が発見された場合、修正パッチがリリースされるまでの間に攻撃が行われる可能性があります。常に最新の状態に保つことで、これらのリスクを最小限に抑えられます。
  • 未対応プラグインの代替策を準備
    開発者がサポートを終了したプラグインやテーマは脆弱性が放置されるリスクが高まります。そのような場合は、公式の情報をもとに代替プラグインを探す必要があります。

クライアントワークでの対応

クライアントワークでは、セキュリティ対策をクライアントに説明し、適切な運用を提案することが求められます。特に以下の点を意識しましょう。

  1. 脆弱性の報告と対応方針
    脆弱性が発見された場合、その影響範囲と対応策を迅速に説明し、場合によっては一時的に機能を停止することを提案します。
  2. 事前の運用体制の確立
    定期的なメンテナンスをスムーズに行えるよう、クライアントと事前に契約やスケジュールを取り決めておきます。
  3. 教育と情報提供
    クライアントがセキュリティの重要性を理解できるよう、わかりやすい資料やセッションを提供することも重要です。

サーバーとインフラの選択

WordPressサイトのセキュリティには、ホスティング環境も大きく影響します。

  • レンタルサーバー
    信頼性の高いサービスを選ぶことで、PHPのバージョンアップやセキュリティパッチの適用がスムーズに行えます。
  • VPSやクラウド
    自己管理が必要な環境では、OSやサーバーソフトウェアのサポート期限を把握し、適切なアップデートや移行を計画することが求められます。
  • サーバーレスソリューションの利用
    メンテナンスの手間を軽減するために、SaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)を活用する選択肢もあります。

制作者と利用者の責任

WordPressは、単なる「Webサイトの構築ツール」ではなく、更新と保守が必要な「システム」です。そのため、制作者と利用者の双方に明確な責任が伴います。


制作者の責任

  1. セキュリティの基礎を設計段階から組み込む
    制作者は、WordPressサイトを構築する際にセキュリティを最優先事項として考慮する必要があります。
    • 安全なテーマとプラグインの選定
      不要なプラグインを避け、公式リポジトリや信頼できるベンダーから提供されるものを選びます。
    • カスタムコードのセキュリティ確認
      SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティング(XSS)などの一般的な攻撃を防ぐために、カスタムコードを利用する際は、十分な注意を払います。
  2. 継続的なアップデートとメンテナンスの提供
    制作者は、サイト納品後もクライアントが適切に運用できるようにサポートを提供する責任があります。
    • 定期メンテナンス契約の提案
      セキュリティアップデートやバックアップを含む定期的なメンテナンスプランを提案することが重要です。
    • 緊急時の対応計画
      脆弱性が発見された際に迅速に対応できる体制を整えることで、クライアントの信頼を維持します。
  3. クライアントへの教育と情報提供
    クライアントがWordPressの運用リスクを理解し、適切に管理できるようサポートします。
    • 定期的な報告とフィードバック
      定期的にセキュリティ状況や必要なアップデートについて報告し、フィードバックを得ることで運用体制を強化します。
  4. システム納品の意識を持つ
    WordPressを納品することは「ウェブサイト」だけでなく、「管理システム」を提供していることを忘れてはいけません。
    • アップデートに支障が出にくい設計
      WordPressの基本機能をできるだけ利用し、アップデートの際に問題が出にくい設計を行うことで、ランニングコストの低下にもつなげることができます。
    • 権限管理の設定
      管理者、編集者、投稿者など、適切な権限を設定して不必要なリスクを減らします。

利用者(クライアント)の責任

  1. セキュリティに対する基本的な理解を持つ
    利用者も、WordPressを運用するための最低限のセキュリティ知識を持つことが重要です。
    • 強力なパスワードを設定する
      シンプルなパスワードでは不正アクセスのリスクが高まります。推測されにくいパスワードを必ず設定してください。
    • 不要なユーザーの削除
      管理者アカウントが複数存在しないようにし、不要なユーザーを削除することでリスクを軽減します。
  2. 信頼できる制作会社や業者を選ぶ
    制作会社や運用業者を選ぶ際には、セキュリティに関する知識や実績を基準にすることを推奨します。
    • 事前に確認すべきポイント
      • 定期的なアップデートを行う体制があるか
      • セキュリティ対策についてどの程度説明できるか
      • 緊急時の対応力や実績
    • コストの理解と予算の確保
      セキュリティ維持にはコストがかかります。安価な運用が高いリスクを伴う可能性がある点を理解し、必要な予算を確保しましょう。
  3. 定期的なメンテナンス契約を結ぶ
    運用後も継続的なセキュリティ対応が必要です。制作会社や業者とメンテナンス契約を結び、以下のようなサービスを受けられる環境を整えましょう。
    • 定期アップデート
      WordPress本体、テーマ、プラグインのアップデートを実施。
    • バックアップの実施
      定期的にバックアップを取得し、万が一の際に迅速に復旧できる準備を整えます。
      リストアができるということも重要です。バックアップはとっているけど、リストアできないというような業者もあることに注意しましょう。
  4. システム運用のリスクを理解する
    WordPressを使用する以上、運用には一定のリスクが伴います。そのため、必要に応じて以下の対策を検討してください。
    • サーバーの選定
      セキュリティが強化されたホスティングサービスを選ぶこと。
    • 運用体制の構築
      担当者を設けて定期的に運用状況を確認し、業者との連携を密にする。

制作者と利用者の連携

最後に、制作者と利用者の間で適切な連携が取れていることが、WordPressサイトのセキュリティを高める上で最も重要です。以下のようなポイントに注意しましょう。

  • 透明性のあるコミュニケーション
    制作者は利用者に対し、脆弱性の発見やセキュリティリスクについて迅速に報告し、適切な対応を提案する義務があります。
  • 運用中の課題を共有
    利用者は、運用中に発生した課題や疑問を積極的に制作者に相談することで、より良いセキュリティ環境を維持できます。

まとめ

WordPressのセキュリティ対策は多岐にわたりますが、ログインアタックへの備えやアップデートの徹底、適切なインフラ選択など、基本的なポイントを押さえるだけでも大きな効果があります。Web制作におけるセキュリティ対応は、単なるオプションではなく、クライアントと制作者双方にとって重要な責務であると言えます。

制作者(メンテナンス側)と利用側は運用パートナーであるという意識をどちらも持っておくことが重要なのかもしれません。

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